Someday ~私がいた夏~
 次の日から、私の武田さんウォッチが始まった。
今までなんとも思っていなかったあのスーパーが素敵な場所に思えてくるから不思議だ。

 用事もないのに、スーパーの中をぶらぶらしてみる。

もちろん葉月も一緒に。


 不器用な私のことを一生懸命応援してくれる葉月のおかげで、

私は少しずつこの一目惚れを受け入れようとしている。



 でも、


 キッカケがない。



 武田さんが担当しているのはメンズコーナー。私たちが行く場所じゃない。


 どうしようかなぁ・・・。なんて思いながらもいい案が浮かぶはずもなく、
ただぶらぶらして武田さんの姿を見て、1人でキュンとする日々が続く。


 そして


 夏休みは無情にも『終わり』に近づいていた。



 どうにかして・・・話すキッカケが欲しい・・・。

「さくら、メンズのとこ、行ってみよ。」

「でも・・・女の子2人でって・・・怪しまれない?」

「しょうがないよー。こうでもしないと、キッカケつかめないじゃん? それとも・・・

 今のまま、見てるだけでいいの?」

「それは嫌だけど・・・。」

「じゃあ 行くしかないね!ほらっ行くよ。」



 私は葉月に手を引かれて、武田さんの担当するメンズコーナーに入る。距離が近づいただけで、息の仕方を忘れてしまいそう・・・。普通にしてるつもりでも、意識は武田さんに向かってる。
 武田さんも私たちの存在に気付いてるみたいで、視線・・・感じてしまう。

 気になって、ふと武田さんを見る。


 あ・・・・・・


 目が合った・・・・・・



 胸が  痛いよ・・・



 「いらっしゃいませ。」



 あ・・・・・・


 営業スマイル?


 でも


 その笑顔・・・


 犯罪です。





 まともに 顔が見れなくなって


 私はその場から逃げ出した。


 葉月の存在も忘れて・・・。




 完璧きょどってるなぁ・・・私。


 きっと、ヘンな奴って思われてるよね。


 考えれば考えるほど、自己嫌悪。
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