Someday ~私がいた夏~
第2章~偶然~

16yrd Autumn

 だるい2学期が始まった。

 夏休み・・・地元の友達との気楽な生活を満喫した私には、教室は今までにも増して居心地の悪い場所になっていた。

 この学校に、私が心を開いて話せる友達はいない。ごく最小限のつながりだけでそれなりに生きていけるんだから、不思議な空間だ。

 戦前からあるこの高校・・・良妻賢母が女性の鏡と言わんばかりの教育方針。凛とした女性になるための躾には厳しくて、校則だって・・・イマドキこんなのあり?って思うようなもの。

 生徒手帳の中に書いてある校則に

「男女交友禁止」

 って。

 校則も戦前ですか?


 人を好きになって、両思いになって、2人で一緒に過ごすことが


 『禁止』



 とは言っても・・・守っていない人はたくさんいたけど。 



 だって、人の気持ちなんて・・・


 校則だからって理由だけで


 変えられるものじゃないし。




 私の場合は・・・片思いだから、校則違反じゃないよね?


 なんて、担任の背中を見ながら心の中で毒づいてみる。



 ふと、窓を見ると


 思い出す・・・ヤスノリさんのこと。


 名前を聞いてから・・・ずっとつぶやくようになった名前。


 漢字は知らないから


 ヤスノリさん。




 また、あの夏休みみたいに

 あなたの働く姿が

 見たいです。
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