Someday ~私がいた夏~
 高速を走るバスは、あっという間に私たちの生まれた町に近づいた。

はじめは緊張して、相槌しか打てなかった私も

少しずつヤスノリさんと会話ができるようになった。

 名前のこと、学校のこと、スーパーのことも・・・。

 知りたいと思ったヤスノリさんのこと色々聞けて、私のヤスノリさん情報が増えていく。

 あの、声をかけられてダッシュで逃げ出した日・・・




「俺さ・・・てっきり万引き??と思ってた。」



 万引き・・・・・・

 それは、ちょっとショックだよ。

 でも、疑われても仕方ないくらい テンパってたから・・・

 仕方ないよね・・・。



「それ、ちょっとショックですよ~。」


「ごめんごめん。」


 ヤスノリさんは少し笑いながら、頭をぽんぽんってしてくれた。




 神様・・・

 私、こんなことされたら

 万引きって疑われたことにすら

 感謝しちゃいそうです。
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