Someday ~私がいた夏~
 寮に戻って、1人だけ時間のずれた食事を取る・・・。話し相手もいないさびしい時間。
さっきまで康紀さんと一緒だったからよけいにさびしさが強くなってしまう。

 味気ないご飯をさっと食べて、食器を洗い部屋に戻ろうとしたとき電話を知らせるアナウンスが入った。
誰かが私に電話をくれている・・・それだけで少し気持ちが軽くなった。

「もしもし?」
「あ、石原? 私・・・彩だけど。」
「彩ちゃん・・・」

 急に今日の出来事が頭の中でぐるぐるしてきて、言葉が出なくなる。
「どした?大丈夫?」
「・・・わかんない・・・」
「ちょっと・・・何かあったの?」
「うーん・・・あったようなないような」
「それじゃわかんないって。てか、今周りに誰かいて話しにくかったら明日会う?」
「うん・・・そのほうがありがたいなぁ。」
「じゃあ、明日駅前のマックで会おう。時間は石原に合わせるから。」
「うんうん。じゃあ11時くらいでいい?」
「いいよ!じゃあ明日ゆっくり話そう。」
「彩ちゃん、ありがと。」
「ううん。石原、あんまり考え込むんじゃないよ!」

 彩ちゃんから初めての電話。ちゃんと話してからそんなに時間経ってないのに、私のことを気にかけてくれることに嬉しくなった。


 電話を切った後、私は、明日の外出届を書く・・・。行き先は、行くつもりもない図書館・・・。
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