Someday ~私がいた夏~
「そうなんだよね。なんだろ・・・会ってることだけですごく緊張するし。もちろん楽しいんだよ?会ったら会った時間だけ好きになるんだ。でもまだ彼女とかそういう立場じゃないし。」
「自分の気持ちはわかっても、相手も気持ちまではね~、でもさ、私の憶測だと・・・石原の気持ちはもう相手に伝わってると思うけどね。」
「そうなのかな・・・」
「うん、でもさ、相手だって石原の存在を知ってすぐに「付き合いたい」とか「好き」とかそんな気持ちになれるわけじゃないし、距離もある分時間かけてって思ってるんじゃない?」
「うん・・・。私はこうやって会ったりするだけで、いっぱいいっぱいなんだ。あの人がすごく大人に見えて、自分も合わせないとってわかってても・・・ね?」
「うんうん、昔の私もそうだったよ。」
「彩ちゃんも?」
「うん・・・てか“ちゃん”いらないし。彩でいいよ。」
「あ・・・うん。私も 桜って呼んでよ。」
「石原、下の名前かわいいじゃん!意外っ、ふふふっ!」
「意外とか~まじめにへこむよ。」
「ごめんごめん。私もさ、今の彼氏と付き合うとき、変に頑張ったんだよね。とにかく大人ぶることが釣り合うって思ってて。でもね、彼氏に「外見ばっかり無理して大人ぶるな!お前は16のお前らしくいろ。そのままのお前が好きになったんだ」って言われてさ。なんかそのときに肩の力が抜けたっていうか。自然体になったよ。」
「彩ちゃんの彼氏かっこよすぎる!!」
「だから ちゃんいらないって!」
「あっ、ごめんっっ!!」
「桜 かわいすぎる・・・。」

 彩ちゃんと顔を見合わせて大声で笑った。抱えてきたいろんな思いを素直に話せる相手。

(私、やっと自分のこと構えずに話せる友達を見つけた。あの息苦しい学校(セカイ)の中でも一緒に泳いでくれる大切な友達)
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