Someday ～私がいた夏～

　ドキドキドキドキ･･････

さっきから心臓がびっくりするくらい早く動いてるんだよ･･･。

　私　どうしちゃったんだろう？


　心の中でテンパってる私に、冷静な愛ちゃんの一言。

「あの人、武田くんって言うんだよ。ほら、１こ上に武田くんっていたじゃん？」

「あーいたねぇ。」

「うん、あの人のお兄ちゃんだよ。」

「へぇ～～武田くんて、３人兄弟だったんだ？ずっと２人だと思ってたよ。」

「いや、４人だけどね♪」

「さすが　愛ちゃん　詳しいね！」


　愛ちゃんが詳しいには、ちゃんと理由がある。小さな田舎町だからお互いを知ってるっていうのも、もちろんあるんだけど･･･、愛ちゃんの家と武田くんの家は通りを挟んで向かいなんだもの。町の中心にある･･･小さなお店が集まってる場所。そこが愛ちゃんの家。

　そして、今私をドキドキさせているあの･･･武田さん･･･が暮らしている家もその通りにある。

　愛ちゃんがいろんな情報を提供してくれるのを聞き逃さないようにしながら、目はあの人から離れない。

（武田さん･･･）

　心の中で名前を呼んでみる。


　！！！

　こっちを向いた･･･。


　偶然だよね･･･こんなの。


　でも、さっきより･･･

　ドキドキが早くなって来てるよ。

　私１人

　動けない。