春色最中のコンチェルト
悲しみよりも怒り。
失望。
せっかく東京の高校に来て東京の大学を受けたのに。
だって落ちたら、落ちたら───。
携帯─いまだにガラケーの─が震えた。
「もしもし」
『あ、最中?』
「祐介…」
自分の名前が昔から嫌いだったが、彼氏の祐介に呼ばれるのは好きだった。
『声やばいな、どした?』
「落ちた」
『落ち…え!?』
「…落ちた。大学」
自分の声が信じられないほど低い。
電話の奥の祐介はどんな顔をしてくれているのだろう。
『まじか……こんな時に言うのもなんだけどさ』
「え?」
『俺ら、別れない?』
「………………は?」
オレラワカレナイが変換できない。
何だっけ、あれか。
最近話題のリズムネタ。
『やっぱ俺ら合わないような気がしてさ』
今、やっと理解できた。
俺ら別れない?、か。
ああスッキリした……と思いかけて、
「何言ってんの?」
『え?』
「合わないって、え?何が?」
『えー、だから…その、気が』
そう、気が。そうですか。
沸々と怒りが湧いてくる。
何だコイツ。
一年以上付き合って、最後の理由はそれか。
「あんたがそう思うならそうすれば」
随分、冷たい声が出たなと思った。
『あーやっぱり?じゃあ…今までありがとな。まぁ…お前も色々頑張れよ』
ブツッと通話が切れた音。
失望。
せっかく東京の高校に来て東京の大学を受けたのに。
だって落ちたら、落ちたら───。
携帯─いまだにガラケーの─が震えた。
「もしもし」
『あ、最中?』
「祐介…」
自分の名前が昔から嫌いだったが、彼氏の祐介に呼ばれるのは好きだった。
『声やばいな、どした?』
「落ちた」
『落ち…え!?』
「…落ちた。大学」
自分の声が信じられないほど低い。
電話の奥の祐介はどんな顔をしてくれているのだろう。
『まじか……こんな時に言うのもなんだけどさ』
「え?」
『俺ら、別れない?』
「………………は?」
オレラワカレナイが変換できない。
何だっけ、あれか。
最近話題のリズムネタ。
『やっぱ俺ら合わないような気がしてさ』
今、やっと理解できた。
俺ら別れない?、か。
ああスッキリした……と思いかけて、
「何言ってんの?」
『え?』
「合わないって、え?何が?」
『えー、だから…その、気が』
そう、気が。そうですか。
沸々と怒りが湧いてくる。
何だコイツ。
一年以上付き合って、最後の理由はそれか。
「あんたがそう思うならそうすれば」
随分、冷たい声が出たなと思った。
『あーやっぱり?じゃあ…今までありがとな。まぁ…お前も色々頑張れよ』
ブツッと通話が切れた音。