テンポラリー・ジョブ
第1章
「えっ! 三ヶ月・・・?」
「おめでとうございます。胎児も順調に育っていますよ」

突然の医師の言葉に、知恵は、思わず不思議な驚きだった。

年配の看護師が知恵に『出産までの過し方』と書いてある資料を渡した。

「今度の検診までに、しっかりこれをよく読んでおいて下さい」
「・・・」

「これからは胎児のことも考えて出産までの期間は、ご主人にも協力してもらうように お願いして下さい」

「はい・・・」
知恵は、医師の言葉を素直に聞き入れた。



「三ヶ月だって・・・」
知恵は産婦人科を出るなり、車に入り携帯電話で真美に連絡をした。

「やったね! おめでとう」
真美は興奮した様子で祝福してくれた。

「それで、大輔さんには連絡したの?」
「いえ、まだだけど・・・」

「病院に行くことは、大輔さんには話していなかったの?」
「昨日、帰りが遅かったから」

「そう・・・じゃ、今夜、報告ね」
「うん・・・」

「ねえ、知恵、あまり嬉しそうな感じゃないみたいだけど」
「実は、ちょっと拍子ぬけした感じ・・・」

「知恵、どうかしたの? そうだ、午後から知恵も会社でしょう」
「そうだけど」

「私、もう少ししたら、司会打ち合わせで、そっちに行くから、そのことは、また後で 話しましょう」
「うん、わかった」

知恵は、電話を終えて車で会社に向かった。


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