テンポラリー・ジョブ

告白

「おかえりなさい」

大輔が帰宅して、リビングに入ってくると、知恵がキッチンで夕食の準備をしていた。

「ただいま・・・駅前の店でケーキ買ってきた」

大輔がケーキの箱を知恵に差し出しながら言った。

知恵は、驚きながらケーキの箱を受け取った。

「どうしたの? ケーキなんて」

知恵は、珍しくケーキなんか大輔が買ってくることに疑問を抱いた。

たぶん、つわりのことに気がついてくれたと思い、お祝いで買ってきてくれたのかと思った。

大輔は、知恵の不思議がる表情を見て、自分に対して、何か企みがあることを悟られている気がした。

実際は、会社を辞めるということを切り出すため、二人でケーキでも食べながら話そうと思っていた。

知恵の顔を見ていると、今しかないと大輔は思った。

 
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