テンポラリー・ジョブ

後悔

大輔は、あてもなく歩いていた。

知恵は、仕事に出て家にはいないことはわかっていた。

時間を見計らって、家に戻ることはできたが、すぐに帰ろうという気持ちがおこらなかった。

いっの間にか、最近まで通勤していた道を歩いていた。

日頃は会社員や学生が通る商店街も活気があるが、今日は日曜日ということで人もまばらで静かな風景だった。

大輔は歩きながら、どうして知恵の妊娠を素直に喜べなかったことを後悔していた。

妊娠を聞いたら、自分は生活のためエンジニアの仕事を捨てて、九州へ行くだろうか・・・?

いゃ、知恵はそんなことは望んでいなかったから、妊娠のことは言わず、会社を辞めさせてくれたんだ。それなのに、俺は知恵に同情されていることに腹をたててしまった。なんて小さな男なんだ!

大輔は、心の中で自分のことが、くやしく思えてきて仕方なかった。

 


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