テンポラリー・ジョブ
「大輔君?」

突然、大輔の後ろから声をかけてきた男性がいた。
振りかえると支配人の松崎だった。

「お久しぶりです」
大輔は、突然のことに慌てて会釈して挨拶をした。

「やはり、大輔君だったんだね。ちょうど今、お客様を乗せたバスをお見送りしていたら、どこかで見た男の人がいたから気になってきてみたら、やはり君だったか」
松崎が笑顔で言った。

松崎は、黒のタキシードできめていた。

「君と知恵ちゃんの媒酌人をしたのは、かれこれ七年前ぐらいになるかな。あれ以来だね・・・ところで、今日はどうしたの? 」
松崎が不思議に尋ねた。

「知恵に用事がありまして・・・知恵は、まだ仕事中ですよね?」

「どうかな・・・? 確か接客中だったとは思うけど・・・どうだろう、中で待っていたら? 」

「いぇ、そんな! 知恵も仕事していることですから,ここで待っています」

「何、水くさいこと言っているんだよ。こっちへおいでよ」
と、言って松崎は、大輔を無理やり式場の中に連れて行った。




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