悪徳 上
はじまり
2012年 夏

ねえ、本当にやるつもりなの?こんなことしたりして本当にバレない?

はぁ?何言ってんの?うるさいのよ。あんたの声でバレるからやめてよ。

2人ともうるせぇんだよ。おまえらは危険なことしないから黙ってろ。

おい。真人、言い方気をつけろよ。こうゆうときこそ団結が必要だって言ってたじゃんか。

まあまあ、みんな落ち着こうよ。千里も美紀もだまっていよ?

というより、はやく片付けちまおうぜ。亜実、これもっててくれ。



佐々木亜実

佐々木亜実29歳です。××大学に通っています。
一昨年の事件のことですよね。
めずらしいですね。この時期になって調べようとする記者の方がいたなんて。
はっきり言って、あの事件は大きくとりあげられはしませんでした。
教師が生徒を殺す。
嘘みたいな本当の話。
まあ、その前にもいろいろな事件がありましたけどね。
高校の頃、仲よかったんです。偽りの。
そこで私は憎しみ、恨み、嫉妬、これらの悪徳を覚えました。
そして、殺し、殺される気持ちを…。



佐々木亜実(高校の頃)
理科の教師ほど、うざい人はいない。
かわいい女子にはひいしをして、反抗する生徒には優しくし、相手にしてくれる先生はこの人しかいないと思わせる。
そんな優しくしてくれる先生を生徒は頼り、問題児をもまとめられる先生を教師は尊敬する。
実に単純。
自分に酔いしれている理科のクソ教師笑えるし、それに騙されている生徒はもっと笑える。
その理科教師の名前は
神原 純
という名前だ。
神どころかクソのなにものでもない。属に言う名前負けだ。
私の父親とはまったく違う。私の父は化学の研究者だが、研究に自分の命を捧げ、亡くなった。
原因は薬草の調合の失敗により爆発。
みなは私の父をあわれだと思うか。
私は悲しいとは思うが、あわれだと、かわいそうだとは思わない。
むしろ、ほこりに思う。尊敬できる。
なぜなら自分のやるべき事に向かって走ったのだから。馬鹿にするなら君たちもそれをやってみるがよい。
よく耳にするのは、子供(自分)よりも化学を優先されたことに悲しいとは思わないのかという質問だ。
たしかに寂しく思ったことはある。しかし、父を恨んだことはない。それに母がいるし、逆に私は生まれるべき人間ではないのかと考えたこともある。
要するに、父にお前は邪魔だから死ねと言われたら本望である。
父のいらない存在であればよろこんでいなくなる、父のいる存在であればいつでもそばにいて指示に従う。
まさしく感情のないものになるのだ。
これを異常だと思うか?
なら、私はもっと異常なやつを知っている。神原純だ。
あいつは全人類のなかでもっとも卑劣で下品で生きている価値のないNo.1のホニュウ類であろう。
そんな私の気持ちをわかってくれるのは千葉直登と渡辺千里だけだ。
直登とは、小さい頃からの付き合いで、とても仲がいい。
登下校をともにして、どちらかの親が家にいなければ、どちらかの家にいき、食事をごちそうしてもらう。そんなことが多々あった。
もちろん、それを誤解する同級生も多いい。
『二人って付き合ってるの?』
学年が変わる度、友達が増える度、席が変わる度にその質問はなげかけられてきた。たしかに誤解されても無理はない。なぜなら、実の親にも言われたからだ。
いつもの通り、わたしは直登の家に食事にいった。
わたしのお母さんはヘルパーで週に4回イカレタおじいさんやおばあさんのために夜勤をしている。
そのためにわざわざ食事にいっているわけだが、ある日直登の母にこんなことを言われた。
「あんたたちって付き合ってんの?」
まさか、直登の母からそんなことを言われるとは思ってもいなかったからビーフシチューを食べていた手が思わず止まる。直登も同じだった
その二人のポーズが一緒すぎてその話は笑いで流された。
でも私は考えた。どうなんだろう。
わたしたちってつきあってるのかな。
でも、二人でどこかに出かけるとか、そういう恋人がするようなことはしたことがない。もちろん、告白なんかもしたことがない。
もし、直登がそんな風に意識していたらどうしよう。
うれしいが、それがきっかけで二人の関係が崩れたら困る。
案の定、今現在、少し避けられている気がする。
それから、渡辺千里…。あいつは…
チャイムがなったからまたこんど。
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