弱気な俺の恋
結の携帯が繋がったのは、翌日だった

『今日も休みます!』

メールがきてから、すぐに電話をかけた


「先輩が風邪で、看病してるの…ごめん切るね?」


一言で切られた・・・


先輩って、この前の長身な人かな?





結じゃなくて良かった




あっ




先輩…ごめん






なんとなく謝りその日、2人分の仕事をした


繋がらないだろうけど、携帯にメールした

『先輩の具合どう?
何か差し入れしようか?』


『もう、平気そうです!ありがとう!』


すぐに返事がきたから、安心した







7月になり、Y大に向かう途中の商店街で
七夕飾りに目がいった


“ 浩一くんが野球選手になれますように ”


結の書いた願いだ

名前なんて書いてないけど、文字と内容で

すぐわかる


自分のことを願わず、彼の夢を願うあたり

結らしくて、そういうとこも好きなんだ

七夕飾りを見上げ、笑う俺は、キモいと思う



ずっと見ていたから、商店街のおばさんが



「どうぞ」


短冊とペンをくれた


「ありがとうございます…」






“ 笑って長生きして下さい ”

いざ、書こうとしたら
そもそも、誰に祈ってんのかわからなくて


結に願ってみた



ふっ



真似したみたいだなぁ




と思いながら、結の短冊の近くにつけた






短冊くらい隣にいても、バチはあたらないよな


浩一くん、許してね


パンパン と手を鳴らして、目を瞑り合わせた



「あはははっ神社じゃないよ!?」



あっ・・・


やってしまった・・・




「その短冊の女の子も、同じ事してたよ!」




マジか!!!




「兄弟かい?」




「違います!俺、一人っ子なんで…」




彼女かい?


と、間違えられたかったなぁ
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