弱気な俺の恋
元気なうちに、手紙を書いた

俺が亡くなった後の結が心配で


もちろん浩一君にも


結をさらったこと、謝らないと



本当は、辛いはず

俺が、いつ消えるかわからない

自分も同じ病気だから、きっと重ねてしまう

アイマスクしていても、感じるはず

俺の命は、あと少し



結が叶えてくれた、たくさんの夢



モノクロの俺の世界


たくさんの色をつけてくれた


ただひとつ自分でつけないといけない色


俺は、青空になりたい


笑って話したね


結、結の夢が叶うように


俺が天国行ったら、神様に頼んであげる


かわいいおかぁさんになれるように





浩一君


ごめん…

結のぬくもりを感じて逝きたいから


毎晩、抱きしめさせて貰ったよ


だけど、キスもしてないからね!

してもいいよ!
なんて、誘われたこともあったけど


俺は、心残りが欲しかった

思い残すことはないって、ドラマとか

やり遂げた感じは、絶対ないと知ってたから

だって…生きていたいんだから


生まれ変わって、結に恋するために


心残りをつくる


意地でも心残りを叶えたくなるだろ?


結に俺の死を見せること

凄く悩んだよ


だけど、結に気づいて欲しかった


すぐそこに、いつでも死がある

生きたいと… 真剣に、生きて欲しい


もしも、結が生きることを手抜きしたら

怒ってあげて欲しい


いい見本になれたかわからないけど


俺が出来ることは、ちっぽけなこと


これからの結を考えたら


何でもないこと



聞いたよ


俺と過ごすこと


後押ししてくれたって



浩一君



もう、手放しちゃ駄目だよ!


結が好きなのは、今でも君で


俺じゃない


わかってるよね?



結を貸してくれて、ありがとう!!


           青葉 奏汰



浩一君への手紙を読み返し、封筒に入れた


どうか、結と幸せになってください



最後の俺の夢



結と浩一君を元に戻すこと















< 87 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop