一瞬の風になれ
「きいっ!!」
名前を呼ばれた瞬間、あたしは我に帰った。
だけど、
だけど、
「死なせて下さいっ!」
美帆や部長があたしを止めるなか、あたしはベッドの上で
手首にカッターをあてていた。
どこから持って来たなんて全く覚えてなかった。
「自殺なんかしちゃダメっ!生きなきゃっ井上分まであんたが生きんのよ!」
部長の強いもの言いにあたしはカッターを手から放した
微かに残った刃物のあとから、血が出ていた。
「きい…つらいのは分かるよ、泣いてもいいよ、だけど、自分を捨てたら絶対にダメ」
美帆が泣いたのを初めて見た
あたしを思って
部長や美帆が泣いていた