訳アリ店長に”恋”しちゃいました♡【番外編追加】
一歩、前へ
「っ……」
朝か――。
ゆっくりと体を起こしていく。
畳の上に直に寝たためか、体が軋んで痛い。
ふと繋がれたままの左手に視線を落とすと
自分とは違う、少し体温の高い柔らかな手が目に入る。
そうか。昨日、瀬戸が握ったまま寝てしまって
外そうとしたけれど、簡単に外れないくらい強く握ってたから
そのまま寝てしまったんだった。
それにしても、不思議だ。
昨日、瀬戸に話をした所為か、それともコイツの話を聞いたからか
いつも見る悪夢を見なかった。
久し振りに、よく眠れた気がする――。
壁に掛けてある時計を見れば、まだ5時。
店の準備には、まだ早い。
でも、漁師の蒼汰なら海から帰ってくる頃だな。