訳アリ店長に”恋”しちゃいました♡【番外編追加】
「ねぇ、昨日の話だけど――」
二人並んで防波堤に腰掛け、静かに打ち寄せる波を見ながら
絢が口を開く。
「絢。俺は、もう戻る気はないよ」
不思議と心は落ち着いていた。
「っ、どうして?あなたは、こんな田舎で――」
懇願するように、俺の左腕を華奢な腕が掴む。
でも、どうしてだろう。
以前のように、彼女の言葉が俺を震わすことはない。
「絢にとっては、田舎としか思えないかもしれない。だけど俺にとっては、ココは故郷であり原点なんだ」
両親の記憶なんてほとんど無い。
親としての愛情は、全て祖父母がくれた。
そんな俺にとっては、ここが故郷であり、全てだ。
絢の手を静かに外して、彼女の心を刺激しないように微笑む。