訳アリ店長に”恋”しちゃいました♡【番外編追加】
「だって――」
「だっても何もないの。帰れったら、帰れ」
「嫌だって言ったら?」
眉尻がピクンと持ち上がり、少しイラッとした雰囲気が
湊叶さんを包む。
「――無理やりにでも帰す」
もう、頑固だなぁ。
この数ヶ月、バイトしてて分かったこと。
こういう時の湊叶さんは、絶対譲らない。
何度か、メニューなんかの話で蒼汰さんと話している時に
喧嘩になりかけたことがある。
その時も、最終的には蒼汰さんが折れて
湊叶さんの意見を通す、ということが殆んどだった。
きっと湊叶さんは、自分で決めた事をそう簡単には曲げない性格なんだと思う。
諦めるしかないか。
「分かりました。帰ればいいんでしょ、帰れば」
口を尖らせて、不貞腐れてみるけれど
湊叶さんには「はいはい、いい子いい子」と頭を撫でられ
子供扱いされてしまう。