訳アリ店長に”恋”しちゃいました♡【番外編追加】
『雑音が酷かったんだけど……か細い声で“崖から落ちた”って聞こえたんだ。その声が、つばさちゃんみたいだったから』
俺んちの電話は、昔ながらの黒電話。
掛かってきた相手の番号は、分からない。
だけど耳の良い蒼汰が、瀬戸の声だと言ってるのならそうなのだろう。
「崖から落ちた?……蒼汰、他には?場所とか言ってなかったか?」
何処の崖だよ。
そもそもなんで、そんなことになってんだ。
膝の事もあるし大した怪我して無けりゃいいけど――。
『いや、雑音が本当に酷くて。それに、直ぐに切れたんだ……あ、だけど。親父から電話があったよ』
「なんだって?」
なんでもいい。今は情報が欲しい。
絢が関係してなければ一番いいけれど、アイツの体のことが心配だ。
もう十八時になろうとしているし
いくら夏だからって、日没は待ってくれない。