訳アリ店長に”恋”しちゃいました♡【番外編追加】

「湊叶ー!そろそろ店に出て来てよ。俺一人じゃ、回らないって」



厨房の方から、蒼汰さんの焦ったような声が聞える。

今はまだ、営業中だもんね。

こんな体じゃなきゃ手伝いたいけど……ゴメンね、蒼汰さん。



「あ、やべ……じゃ、大人しくいろよ」



ポンポンと私の頭を軽く叩いて、和室を出ていった。

一人きりの部屋。

テレビなんて置いてなくて、夏の自然の音しかここにはない。

ジージー忙しなく鳴く蝉の声。

時折り吹く風に揺られて鳴る、風鈴。

近くにある、水路を流れる水の音。

のどかで、落ち着く。


この部屋は風通しがいいのか、涼しいし何もしていなければ眠ってしまいそうだ。

あー何しよう。まだ、閉店時間まで三時間はあるし。

そうだ、持ってきた夏休みの宿題をしよう。

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