訳アリ店長に”恋”しちゃいました♡【番外編追加】

出発の日――。

私はバスターミナルで、神戸に向かうバスを待っていた。

すると、白い息を吐きながらモスグリーンのモッズコートを翻し

湊叶さんが走ってくる。



「悪い、待ったか?」

「うんん。まだ、バス着てないから。それよりお店、休みにしちゃってゴメンね」

「俺が見送りをしたかったんだから、気にするな」



私の頭をくしゃくしゃっと掻き撫でて微笑む。

この温かい手も、笑った顔も、暫くは見れないんだな。

急に寂しくなる――。

そんな思いが顔に出ていたのか、私の頭を引き寄せ

胸に抱きしめた。



「向こうに着いたら、ちゃんと連絡しろよ?」

「うん」


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