訳アリ店長に”恋”しちゃいました♡【番外編追加】
まだ、完全には元には戻っていないのかもしれない。
なら深く追及するべきではないんだろうな。
もしここで、彼女を怒らせるようなことがあれば
またあの時のような事が、起きてしまうかもしれない――。
「分かった。好きなとこに座ってて」
絢を店内に残し、俺は厨房に入った。
自分のテリトリーである厨房に入るなり、ふらっと視界が揺れる。
とっさに近くの柱に右手をやり体を支えると、額に左手を当てた。
っ……蒼汰の配慮に感謝しなきゃだな。
こんな調子じゃ、店なんて出来なかった。
天井を仰ぎ見て深く息を吐く。
まさか、こんなに早く会うなんて思ってもみなかった――。
「湊叶―、まだぁ?」
「あー悪い。もう少し待って」
絢のせかすような声に、もう一度深く息を吐いて気合を入れなおす。
そしてコンロの前に立つと、少し思案して作り始めた。