訳アリ店長に”恋”しちゃいました♡【番外編追加】

俺が美容師として働いていた時――。

人気ナンバー3に入る絢は、昼食の時間をまともにとることも出来ず

お客さんとお客さんの間に時間を作って食べていた。

その時も、きちんと「いただきます」と「ごちそうさま」は言っていた。

そのことに深く感銘を受けたのを覚えてる。



「どういたしまして」



腰を上げ、彼女の目の前の食器を下げようと近づいた時

不意に彼女に腕を掴まれた。



「湊叶。戻ってこない?」



戻る?何処へ――。

一瞬、絢の言っていることが分からなくて目を瞬かせる。

彼女の真剣な目――それが意味するものとは……。



「何を……」

「湊叶の手は、こんな田舎で料理を作るためにある訳じゃないでしょ」


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