訳アリ店長に”恋”しちゃいました♡【番外編追加】
私が返事をしなかったから、心配になったのか
階段を上って顔を出した。
「なんだ。起きてるなら、返事くらいしろよ」
彼は完全には二階には上がらず、上半身だけが見える状態で声を掛けてくる。
「あの、湊叶さん。本当に私、ここに泊まってもいいの?」
「あぁ。お袋さんにも、連絡したし問題ない……あ、俺は下で寝るし。二階には上がらないようにするから、心配ない」
あ、まただ。
さっきから、湊叶さんは私から距離を置こうとする。
決して、私に近づこうとしない。
きっと私が、彼の手を払い除けたから。
あの時、湊叶さんは心配して私に触れようとした。
けれど私は、拒絶した。
別に、拒絶したくてしたんじゃない。
好きだと自覚した瞬間、いろんな気持ちが溢れてきて
近づきたい、だけど自分を知られることが怖い。
こんな気持ち初めてで、どうしたらいいのか分からなくて……。
気が付いた時には、差し出した彼の手を払い除けていた。