紅一点の最強美少女!!!
『大丈夫だよ杏ちゃん。
類が甘いのは今に始まったことじゃないから』
何か企んだような笑みで類を見た夏に、類が少し顔をしかめて私を手招きした。
……もう、仕方ないか。
今、もの凄く、天然タラシをかわす方法を誰かに伝授して欲しい。
絶対将来使わないけど。
類ぐらいだと思うけど。
『類って、皆んなにこうなの?』
『……何がだ』
大人しく類の隣に座って顔を見上げると、類が不思議そうな表情を浮かべて首をかしげた。
なんですか、その仕草は。
私を殺したいのかな、類さんって。
『もう諦めろ』
私達を見てニヤニヤと笑いながらそう言った将の言葉にがっくりと肩を落とす。
知ってるつもりだけど。
この人から逃げられる手段なんて誰も知らないことぐらい!
チラッと将から類に視線を移せば、目があった類が少し目を細めて口角を上げた。
『……っ、この、天然タラシっ!』
大声で叫びながら類の腕から逃げ出して、慌てて屋上から飛び出した。
……知らない、こんなの。
赤くなっているだろう顔を冷やすために、通りかかった自販機で冷たい飲み物を買う。
私らしく無いなー。
恥ずかしくて逃げて来るとか。