紅一点の最強美少女!!!
『無視すんなよ! クソ女』
……あー、やっぱり無理!
私がグルッと将の方を向いた瞬間、将が壁の方にぶっ飛んでいく。
『手加減無いな〜、杏は!』
私が殴ったせいでぶっ飛んで行った将に哀れむ目を向けながら言ったお父さん。
ん〜……私が手加減ないっていうよりは、将がうるさいのが悪いよね。
私のは正当防衛でしょ!
『誰が正当防衛だよクソ女!』
いつの間に復活したのか、殴られた所を抑えながらそう吠える将に眉間にシワを寄せて見せる。
『か弱い女の子が厳つい男に吠えられている時点で、正当防衛に入るよ』
『誰がか弱いだ!
か弱い女の子ってのはな、その厳つい男なんて殴り飛ばさねぇよ‼︎』
ああ言えばこう言う。
私の言葉に更に倍の声量で返してくる将に、私の額に青筋がたつ。
そんな事にでさえ気づかない将は、未だに文句を叫び続ける。
『将、あんた本当うる『……黙れ、将』っ……』
私の言葉を遮った類から、物凄い量の殺気が溢れ出し、思わず言葉を詰める。
類の殺気に当てられた将の顔から、ドンドン血の気が引いていくように感じる。
……この殺気の矛先になるのは、さすがの将でも哀れだね。
そんな光景を見ながら、他人事のようなことを考える。
まぁ、他人事だからいいんだけど。