紅一点の最強美少女!!!
『杏ちゃん、教室行こう⁇』
『京ちゃんが、今日だけは出ろって言ってた!』
『うん。じゃあ行こう』
類の頭を数回軽く叩くと、面倒くさそうに起き上がった類が、私の手を引いて立ち上がらせてくれる。
…うん、こんな所が天然タラシなんだよね。
本人は全くの自然体だし、計算してるわけでもなさそうだし。
類を相手にするためには、人類には4個ぐらいの心臓が必要だと思うよ。
少なくとも、私は10個必要だね。
『ねー夏。文化祭って、何するの?』
『それを決めるんだよ、今から』
隣を歩く夏に聞いてみると、まぁ当然の答えが返ってきた。
文化祭でしょー?
バンドとか、劇とか勝手にイメージしちゃってるよ私。
『……杏』
私の名前を呼んだかと思うと、ピッタリくっついてきた類に、思わず身体が固まる。
類さん。貴方こんなキャラじゃないよね⁉︎
どっかのネジが数本おかしくなっちゃったんじゃないの?!
『類⁉︎ あー、もう。私の心臓10個じゃ足りなくなりそうなんだけど』
思わず出た私の言葉に、夏がふふっと笑みを浮かべる。
うん、笑うのはいいよ、夏。
けど、笑うんじゃなくて!!!!
『珍しいね…類がそこまでくっつくのは』
だから、珍しいのはわかってるよ。
多分そうだろうし、キャラじゃないし。
『いやいやいや。
見てないで助けてよ、夏』
そうでなくとも、私のキャラが崩壊しそうなんだけども。