夜の跡
赤猫と黄猫
三人は固まっていた。
ありえない状況を見て。
「…な、なにこれ。どういうことなの。」
最初にしゃべり始めたのは風鈴だった。
それを聞いた楓と流季は我に返ったかのように風鈴に近寄った。
「わ、わからない。僕が見た時はただ黄色い月と黄色い月が二つ見えてきれいだったから見せたかっただけなのに。」
「なんか雫が動いてる!?」
それを聞いた風鈴と楓は雫の方を見た。
雫はうごめきまるで生き物のようだった。
何かの形になり始めていた。


赤猫と黄猫


「なんか、猫みたいな形になってない?」
「あ・・・」
「おれら逃げよう・・あれ、フェンスがない!!」
流季は周りを見渡した。
そして、崩れ落ちた。
「帰り道がない…」
「うそでしょ!?そんな…」
流季と風鈴が崩れ落ちたなか、楓だけは雫をジーと見ていた。
そして形が出来上がったのを見た。
「猫だ…。赤い猫と黄色い猫が出来上がった…」
流季と風鈴が顔をあげて雫だったものを見た。
そして、目の辺りが光ったのと同時に赤猫と黄猫が走り出した。
「あれじゃ、まるで戦いに行くみたいじゃない!」
「見たいじゃなくて戦うんじゃないかな。」
「うそだろ・・・」
猫と猫が思いっきりぶつかり、目が開けられないほどの光に包まれた。
三人は目を閉じた。
(あなたたちはどうしてここにいるの?)
三人の頭の中で声が聞こえた。
(((誰!?)))
三人は目を開けたくても開けられなかった。
するとまた、声が流れてきた。
(私は、黄色い月の王女。今戦っているのは、あってはならない月の国の王女、私の妹)
とても悲しそうな声だった。
きれいで透き通っているのに、なんか揺れているようなそんな感じの声だった。
(((…何か手伝えることがあればします!!)))
その時の三人は助けたくてしょうがなかった。これが引き金となって物語は始まった。
< 3 / 8 >

この作品をシェア

pagetop