イタズラなオオカミ
カエルの子はカエル
5限目に教室に戻ると
クラスメイト達の好奇な目が痛い。
授業が終わり休み時間になると
一斉に駆け寄ってきた。
「ねえ、神山さんと付き合ってるのよね」
「うらやましい~!
ハンサムで頭もよくてモテ度高いのよ!」
「さっき、倒れたあなたを抱き上げた時!
映画のようなシーンだったわよ」
「それに隣の高校のレスリングキングにも告られてたし」
女子が機関銃のようにしゃべりまくる。
そこに突然
「ねえ、これ君のだろ?」
目の前にはカエルのストラップ。
差し出した男子をあたしは見上げた。
茶色な髪、白い肌、大きな瞳。
女子だって憧れるほどかわいい顔の男子。
まるで子どもの頃思い描いた王子様。
「あっ、ありがと」
あたしはあわててカエルを受け取った。
王子様はクスリと笑った。
「僕、同じクラスの榊原優。よろしく」
王子様は笑顔のまま、
教室を出て行った。