イタズラなオオカミ

「ふ~ん、少しはましになったな」


光太郎はジロリをあたしの全身を見渡すと
そう言った。

まし?まし?


ほめられたいわけじゃないけど
その言葉も傷つくわぁ。
せめて「悪くないじゃん」とかさ、
いいようがあるのに(グスン)

でも?いったい何でこんな事になってるの?
光太郎もいつの間にか白いスーツに着替えてるし。
あ~すごくカッコいい!
思わずぼーっと見とれちゃう。
いかんいかん、
といかく今の状況を把握しなきゃ。

いきなりあたしの手は掴まれた。

何も言わず歩き出す光太郎。

長い足の一歩と、
ヒールの高い靴のあたしとじゃあ~
歩幅が違う。


数歩歩いたところで
あたしはこけた。


床にはいつくばってるあたしを
切れ長な光太郎の瞳が見下ろす。
ただでさえ冷たい感じなのに
もっと冷たく見えるよぉ。




「ったく・・・」



光太郎はしゃがみこむと
あたしの体を抱き起こした。



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