君に二文字伝えるだけの簡単なこと
そうして、しばらく、野々村にぎゅってされたあと「あっ!」っと疑問をひとつ思い出す。
「…なんで、私からのラブレターってわかったの?
名前書いてなかったじゃん。」
「立木の字くらい見分けられるっての。
何年越しの片想いだと思ってんだよ。
つうか、机の中に入れんな、分かりづらい。
家に帰ってから気がついたから、遅れただろうが。」
「そっか、それで、走ってきてくれたのか。」
「…悪いかよ。」
たった二文字、されど二文字。
簡単なはずの二文字は、とても難しい。
でも、想いを伝える大切な言葉。
「ううん、ありがとう。
野々村、好き。」
…ほら、この二文字で、君も笑顔に。
end