眠りの王子と女の子

忘れていた本の存在








「んっ…」



はぁ…また私寝てたんだ

奏が苦しんでるのに呑気な事だな自分…

私はだるい体を起こし瞼が重い事を感じた

目を擦ると滑りが悪く触ると痛い…



あの時、私が忘れ物を取りに行かなければ

私が遅れたりしなかったら

あの時もずっと後悔していた

自分の間抜けな行動でああなってしまった


奏はあんな血だらけになる事はなかった



でも、奏が抱えていた子供の母親は

凄く感謝してた

意識のない奏に向かって

大粒の涙をたくさん流しながら

子供を宝の様に抱き締めながら



奏は人の命を助けられる人になりたいって

すっごい目を輝かせていってたな…

あの時の顔を思い出したらどんな時でも

笑顔になれた

今は無理だけど…

でも良かったね奏、叶ったよ



でも、叶った代償がこれか…



ドサッ

「えっ…」


その時本棚から、一冊本が落ちてきた

さらにその本を見るとさらに暗い気持ちになった

お父さんの事を思い出したから…



私は、父親がいない


それは離婚という訳ではなく事故で亡くした

私がまだ2歳の時、週末に必ず行っていたデパートの

帰り道、飛び出してきた子供を避け向かいの車両を

走っていたトラックと衝突し

ガラスの破片、頭部の衝撃により亡くなった


私とお母さんは後の席にいたため衝撃が少なかった

ため、お父さんだけを失くしてしまった



その日は私の誕生日の1日前の日で

誕生日プレゼントを買いに行っていた

そのプレゼントは、初めて私が自分で選んだ

プレゼントだった

プレゼント買いに行くから前の日は寝れなかったな…

買って貰ったのは表紙も中身もしっかりした小説だった


『菜々ちゃん?それは菜々ちゃんには難しいよ?』


そう言うお母さんとお父さんの言葉を聞かず

買って貰った本


たしかに幼い頃の私には凄く難しい本だった

(しかもこの本の存在忘れてたからまだ読んでない…)


でも何故かその時その本に凄い魅力を感じた






私は落ちた本を拾い上げ

本の1ページを開いだ

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