あなたにあたしの何がわかるの
「だれ?」
その子は起きていたらしく、寝そべったまま、そう発した。
距離は遠いのにはっきりと耳に届く、優しい言葉だった。
「こっちおいでよ」
そう言われた。
私は一瞬戸惑ったが、その子の方へ歩いていった。
カサと草の音がする。
「だれ?」
私はその子の顔をはっきりと見た。
“かわいい”
そんな言葉がピッタリだった。
私はこんなにもかわいい子を見たことがない。
ふわふわとした栗色の髪に、ノーメイクでも整っている顔。
華奢な体に鈴のような声。
「かわいい」
そう呟いてしまった。
「あははっ、ありがとう
あなたはだれ?」
その子はまぶしそうに目を細め、でもしっかりと私を見ながらそう言った。
「私は……今日初めて学校に来たんどすけど………」
「ふぅん。
何年生?」
ムクリと起きて私としっかりと向かい合う。
「1年生です」
「私と一緒だよ。
タメでいーよ。」
この子と私が同じ年!?
信じられない……。
話してて思ったけど、とても上品だけど、話しやすくてよく笑う人だと思った。
右頬に出るえくぼがかわいい。
私が男子だったら間違いなく惚れている。
「あなた、どうしてここに来たの?」
「えっと……理事長室行きたかったんだけど、迷っちゃって」
「なるほど」
彼女はすっと立ち上がりスタスタと歩き始めた。
私が呆然と見ていると
「なにしてんの??はやくおいで。
案内してあげる」
確かにそう言った。