恋の掟
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店を出た後、豪は煙草を消し携帯を取りだした。



♪ピリリリリ〜ピリリ


『なんか用?』



豪が電話をかけた相手は僚央だった。




「………」



『俺疲れてんだって。用ねぇならかけんな。』



少し強い口調で僚央が言った。





「お前さ…」



僚央が電話を切ろうとした時、やっと口を開いた。





「お前、何隠してんの?」


豪も裕月と同様、僚央の異変に気付いていた。




「俺らに言えねぇこと?」


『なんもないって裕月にも言ったんだけど…』



僚央がめんどくさそうに答えた。



「ならいいけど…裕月にあんま心配かけんな。疲れてんのに悪かったな」




今は何を言っても、


『なんにもない』


そう答えるだろうと思い、豪は電話を切った。








『言えるわけないよな…』

電話が切れた携帯を片手に、僚央は呟いていた。


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