恋の掟
学校も終わり、家に帰る。
屋上に呼び出されてから頭を巡るのは…
僚央のことだけだった。
何度か僚央に連絡しようとしたが、する理由が見つからず今に至る。
制服から私服に着替えて、豪に指定された時間までまだ1時間ほどあったが、いつもの場所に向かった。
―――ガチャ
玄関のドアを開けると、僚央が通りすぎるのが見えた。
「れーおー!!!」
裕月がそう呼ぶと、
『裕月じゃん…』
と言って、僚央が振り返った。
その表情を見て、裕月は動けなくなった。
冷たい目…
顔の傷…
裕月は何も言えなかった。
気まずい沈黙が続く…
『じゃ、行くわ』
沈黙を破ったのは、僚央だった。
「え?一緒に行こうよ。」
裕月がそう言うと、返ってきたのは予想もしていない返事…
『あ〜、あそこ?俺やめとくわ。』
「でも今日は…櫻井修二のこと話さないと。」
裕月は必死だった。
でも僚央の返事が裕月の表情を曇らせる。
『当分いいわ、あーゆう集まり。めんどくさい』
そう言うと、背を向けて去って行った。
そして
裕月は自然とこぼれる涙をただ流すことしかできなかった。
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