恋の掟
どこかに向かうこともなく、裕月はただ僚央の言葉を頭に巡らせながら歩く。
気付くと空には月が輝いていた。
何も考えたくない裕月は少し歩いたところにある公園に向かった。
ブランコに座り、僚央の言葉を思い出す。
また涙が流れた。
『どーした?』
軽い感じの声…
めんどくさい…
と、思った裕月は無視して涙を拭いた。
声の持ち主は裕月の隣のブランコに腰掛けた。
そして一言
『泣きたいんだったら泣けば?』
裕月は驚いて顔を上げる。
『目腫れてんじゃん!!!氷とか俺持ってないし…どうしよ。』
コロコロ変わる表情が子供みたいだった。
そんな表情で妙に高いテンションで焦ってる彼を見て、裕月は思わず笑ってしまった。
『あんた笑えんじゃん。』
彼は続ける。
『女が泣いてると損するから、やめとけ』
裕月はコクンと頷くと、また笑ってみせた。
「もう泣かないし」
『強がり。てか、かわいくない女…』
そう言うと、また子供のように笑いかけた。
裕月は思った…
不思議な力を持っている彼といることは、居心地が悪くない。
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