恋の掟
━━━━━━
ファミレスについた時には、指定の時間を30分過ぎていた。
案の定、亜梨紗は怖い顔をして入口に走って来た。
『遅刻野郎!!今日おごれ!!』
そう言って、裕月に笑いかけた。
裕月は亜梨紗に返事をしながら、いつもの席を見た。
やっぱりいない…
僚央の姿は、なかった。
それだけで涙が出そうになったが、光毅の言葉を思い出した。
(女は泣いたら損する…)
「泣かない」と、光毅に言った限り泣くわけにはいかない。
裕月はどこか光毅に救われていた。
『ゆづ、行くよ♪』
と、言う亜梨紗の声と共に席へと向かった。
席につくと、豪と目が合う。
裕月は心が見透かされないように目をそらし、
「あきらは?」
と、聞いてみた。
『もう着くってさ♪』
恭が答えた。
『てか、僚央は?』
「当分来ないって。もうめんどくさいらしいよ…」
豪に聞かれ、裕月は素直に答える。
豪は驚きもせず、『ふーん』と言った。
しかし亜梨紗の顔を見て、裕月は自分の発言を後悔した。
『嘘…もう嫌になったんだ…』
今にも泣いてしまいそうな亜梨紗に、裕月は声をかけることさえできなかった。
.