恋の掟
スタートライン

感情

決意を胸に裕月たちはファミレスを後にした。


『送ってく…』


そう言って、裕月の返事を聞く前に豪が腕を掴んだ。



「あ…うん。ありがとう」


どちらが話すわけでもなく、2人は歩き出した。




「横…」


少し後ろを歩く豪に言った。



『何?』

豪はあまりにも急に裕月に話しかけられたため、意味がわからなかった。



しかし裕月が言いたいことを察知したのか



『お前さ、「横来て」とか素直に言えねぇの?』


と、豪が聞くと、照れた様子で「うるさい」と答えた。




そして

『お前が1人で抱えてるもの、俺に言って?』



裕月は黙っていた。


『今のお前…あの時の僚央と同じ顔…


見ててほっとけないんすけど…』




豪が優しく頭を撫でるから、裕月は我慢していた感情が溢れ出す。



そして裕月の頬に涙が流れた。





「あのときもっとあたしが僚央を見てたら、僚央は1人で苦しまなかったよ…」

そして

「僚央、本当に帰って来るのかな…」



そう呟いた。





豪には裕月があまりに小さく見えた。


そして気付けば裕月を抱きしめていた。







「豪?」


裕月はまだ自分の置かれている状況を理解できていない。


すると豪が低く呟いた。





『帰ってくる…何とかするから』





裕月は豪を抱きしめ返す。


「無茶だけはしないで…」という気持ちを込めて…



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