秘密の記憶は恋の契約
1.契約開始
人間、驚きすぎると、思考は停止するらしい。
私、梅村美咲は、今まさに目の前の状況に驚愕し、フリーズ状態に陥っていた。
時刻は、多分・・・朝。
そして場所は、多分・・・会社内の休憩スペース。
私は数十秒前、黒いソファの上で同期の綾部恭一に抱きしめられている状態で目を覚ました。
数回、瞬きをする。
(これって・・・どういうこと・・・?
い、いや・・・ていうか・・・とりあえず離れよう!!)
再度状況を確認し、固まっていた思考が動きを取り戻すと、私は急に焦り出す。
もぞもぞと身体を動かして、眠ったまま私を抱きしめている綾部くんの腕の中から、脱出しようと試みる。
すると。
(あ)
私の肩にかけてあった背広のジャケットが、バサリと音を立てて床の上に落ちてしまった。
咄嗟に、それを拾おうと勢いよく姿勢を変えると、背中に回されている腕に、ぎゅっと強い力がこもった。
「梅村・・・」
綾部くんは寝言のように私を呼ぶと、そのままゆっくり目を開けた。
視線がぶつかり、戸惑ったまま目をそらせない私に、整った彼の顔が近づいてくる。
私、梅村美咲は、今まさに目の前の状況に驚愕し、フリーズ状態に陥っていた。
時刻は、多分・・・朝。
そして場所は、多分・・・会社内の休憩スペース。
私は数十秒前、黒いソファの上で同期の綾部恭一に抱きしめられている状態で目を覚ました。
数回、瞬きをする。
(これって・・・どういうこと・・・?
い、いや・・・ていうか・・・とりあえず離れよう!!)
再度状況を確認し、固まっていた思考が動きを取り戻すと、私は急に焦り出す。
もぞもぞと身体を動かして、眠ったまま私を抱きしめている綾部くんの腕の中から、脱出しようと試みる。
すると。
(あ)
私の肩にかけてあった背広のジャケットが、バサリと音を立てて床の上に落ちてしまった。
咄嗟に、それを拾おうと勢いよく姿勢を変えると、背中に回されている腕に、ぎゅっと強い力がこもった。
「梅村・・・」
綾部くんは寝言のように私を呼ぶと、そのままゆっくり目を開けた。
視線がぶつかり、戸惑ったまま目をそらせない私に、整った彼の顔が近づいてくる。
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