秘密の記憶は恋の契約
次の瞬間。

「!!」

彼の唇が、私にそっと重なった。

優しく愛おしむような口づけに、胸の鼓動が早くなる。


(!?!?)


突然の事態に驚いたまま、綾部くんのキスに翻弄されそうになった私は、はっとなって我に返ると、身体を引き離すように彼の両肩をぐっと強く押しのけた。

「なっ・・・なに!?突然っ・・・!」

赤面しているだろうことを自覚しながら、視線をそらして彼に問う。

すると、彼は驚いたような怒ったような顔をして、私のことを見つめてきた。

「なにって・・・。まさか、覚えてないの?」

「え・・・?覚えてないって・・・?」

「・・・おまえ、昨日・・・」

綾部くんが口を開きかけた時、廊下から「あれー?もう誰かいる」という声が聞こえ、私は慌ててソファの上から飛び降りた。

素早く髪を手櫛で整え、スカートのしわを伸ばし、襟を直そうとブラウスに手をかけたとき。


(えっ・・・!?)
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