秘密の記憶は恋の契約
「そ、そんなんじゃないよ!中学生じゃないんだし・・・!」

からかうように言われてカチンときた私は、彼の顔を見ないように強い口調で反論する。

「ふーん・・・。そっか。じゃあ、こういうことしても別にいいよな?」

そう言うと、彼は握っている手の位置をずらして、私に指を絡めてきた。

「!」


(な、なんてことを・・・!)


いわゆる恋人つなぎ。

心臓が、爆発しそうなほど激しく音を立て始めた。

「それとも肩でも抱こうか?手握るだけじゃ、大人には物足りないだろ」

綾部くんはそう言って、私の顔を覗き込む。

からかっているような妖しい笑みに、思わず頬が熱くなる。

「ちょ・・・なに言ってるのよ・・・!」

握られた手を振りほどこうとしたものの、からめられた指と指は簡単にはほどけない。

ドキドキする心と恥ずかしさや悔しさで、頭の中はどんどん火照っていくばかり。

私はそれ以上の抵抗が、何も出来なくなってしまった。
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