秘密の記憶は恋の契約
タクシーが、私の自宅マンションの前に停車した。
ずっと握られたままだった右手。
彼の力が緩んだ瞬間、私はすかさず手を離す。
「あ・・・じゃ、じゃあ・・・とりあえず、ここまでのお金・・・」
カバンから財布を取り出そうとすると、綾部くんは私の腕に制止をかけた。
「いいよ。これくらい。元々、オレが送るって言ったんだ」
「・・・うん・・・。わかった、ありがとう」
押し問答になりたくない私は、悩みつつも彼の好意を素直に受け取る。
タクシーの扉がカチャリと開き、私は車の外に片方ずつ足を出す。
「じゃあ・・・また明日・・・」
道路に踏み出た私は、車の中にいる彼に、そう言ってぎこちなく右手をあげる。
すると。
「ああ。おやすみ、美咲」
(・・・み、美咲!?)
口をあんぐりと開けて呆然とする私を見て、綾部くんは楽しげに笑う。
タクシーの扉が、バタン!と勢いよく閉まった。
窓越しになった彼の顔は、暗がりでもわかるくらい、甘い表情に変わって私に優しく微笑んだ。
ずっと握られたままだった右手。
彼の力が緩んだ瞬間、私はすかさず手を離す。
「あ・・・じゃ、じゃあ・・・とりあえず、ここまでのお金・・・」
カバンから財布を取り出そうとすると、綾部くんは私の腕に制止をかけた。
「いいよ。これくらい。元々、オレが送るって言ったんだ」
「・・・うん・・・。わかった、ありがとう」
押し問答になりたくない私は、悩みつつも彼の好意を素直に受け取る。
タクシーの扉がカチャリと開き、私は車の外に片方ずつ足を出す。
「じゃあ・・・また明日・・・」
道路に踏み出た私は、車の中にいる彼に、そう言ってぎこちなく右手をあげる。
すると。
「ああ。おやすみ、美咲」
(・・・み、美咲!?)
口をあんぐりと開けて呆然とする私を見て、綾部くんは楽しげに笑う。
タクシーの扉が、バタン!と勢いよく閉まった。
窓越しになった彼の顔は、暗がりでもわかるくらい、甘い表情に変わって私に優しく微笑んだ。