秘密の記憶は恋の契約
(はあ・・・)


自宅に帰った私は、「とりあえず落ち着こう!」と、お気に入りの紅茶を淹れてウッドテーブルの前に座った。

1DKの自宅マンション。

ダイニングはどこにあるんだろう、と言わざるを得ない程、微妙なスペースが付属した部屋。

部屋と言う部屋はひとつしかないので、8畳ほどのスペースには、テレビとローテーブルとベッドという大型家具が、同じ空間に共存している。

狭いと言えば狭いけれど、実家マンションで妹と二人部屋だったことを思えば、贅沢な広さだと自分なりに満足している。


(それにしても・・・)


これから、いったいどうしたらいいのだろうか。

今日一日で色々なことがありすぎて、頭が全くついて行かない。


(朝起きたら、綾部くんの腕の中にいて・・・)


そして、突然キスされた。

仕事中はずっと彼を意識して、いつもの3倍くらいの疲労を感じた。


(それで・・・残業も綾部くんが手伝ってくれて・・・夕御飯も一緒に食べて・・・)


告白されて、まさか付き合うことになるなんて。
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