秘密の記憶は恋の契約
(疲れた・・・本当に疲れた・・・)


昼休みに入りパソコンの電源をおとした私は、「ふう」と大きくため息をついた。

仕事自体は、いつもとさほど変わらない内容。

けれど、隣にずっと彼氏がいるという状況は、信じられないくらい心臓に悪い。


(『彼氏』だっていう実感は、あんまりわいていないけど・・・)


それとも、実感がないからこそ・・・だろうか。

きっと、ものすごいラブラブ状態だったなら、ドキドキして、嬉しくて、ウキウキした気持ちで仕事に取り組むのだと思う。


(だけど・・・)


ドキドキはする。確かにする。

でもこれは、イケメンに好意を見せられた女子の自動反応で、特別に・・・綾部くんが好きだから、という理由でドキドキしているわけではない、と思う。

綾部くんじゃなくても、かっこいい男子に「好きだ」と言われたら、確実にドキドキする自信が私にはある。

だから・・・まだ、彼を好きなわけじゃない、そう思ってはいるけれど。


(とりあえず・・・気分転換に、今日は外に食べに行こうかな)


最近見た地元情報誌に、おいしそうなオムレツの店が載っていた。
< 51 / 324 >

この作品をシェア

pagetop