秘密の記憶は恋の契約
(うん!そうだ、あそこに行こう)


そう決意して、よいしょと席を立ちあがると。

「梅村。一緒に昼飯行こう」


(えっ!?)


同じく立ち上がった、綾部くんからランチの誘い。

私は一瞬で、ウキウキした気持ちが緊張へと変わってしまった。

「え、えーと・・・どうしようかな・・・」

今までなら、二つ返事でうなずく場面。

けれど・・・「彼女」になって一日目。ただの同僚だった今までとはわけが違う。


(ラブラブだったら、ここでもやっぱり『うん!行く行く!』って、目をハートにしてついていくんだろうけど・・・)


躊躇している私に、綾部くんは「行こうとしたんだろ?」と窺うように問いかける。

「そう、だけど・・・」

どうしよう、と二の足を踏んでいると、右横から「おっ」という岩下さんの声が聞こえた。

「二人とも外に行くのか。オレも一緒に行こうかな」
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