秘密の記憶は恋の契約
「ど、どうしようかな・・・。じゃあ・・・からあげ定食!」

落ち着かない私は、とにかく彼に離れてほしくて、目についたメニューに即刻決定。

けれど。

「ふーん・・・。からあげもうまいよな」

相変わらず私に身を寄せたまま、彼はメニューを眺めている。

「私決まったから!メニューひとりで見ていいよ!」

そう言って、メニュー表を彼に渡そうとしたけれど。

「いいよ。ここで見れるし」

と、綾部くんは全く姿勢を崩さない。


(せっかく早く決めたのに・・・)


そう思うものの、何も言えずに固まる私。

その光景を、にやにやしながら見ている金田さんの視線に気づいた。


(もう・・・絶対に野次馬なんだから・・・)


それから間もなく、サバ味噌煮定食に決めた綾部くんは、手をあげて店員のおばちゃんを呼び止め、みんなのメニューを注文した。

とりあえずひと段落、と安心したところで、岩下さんの熱い視線に気がつく私。


(なんか、イヤな予感・・・)


「やっぱりなんか違うなー。恋してるだろー、梅村」


(・・・予感的中・・・)


「急に色気が出た気がしないかー?」

「なあ?」と言って、岩下さんは綾部くんと金田さんに同意を求める。
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