秘密の記憶は恋の契約
「合コンとかで知り合ったのか?」

「ま、まあ・・・そんな感じです」

真横にいる人だけど。

まさかそんなことは言えないので、私は適当に返事する。

「連絡先は知ってるんだろ?」

「はい・・・まあ・・・」

「そうかー!なら誘っちゃえ誘っちゃえ!なんならオレが相談にのるぞ。

こう見えてもな、オレも若い頃は結構モテたんだぞー」

そう言って、岩下さんは丸いお腹をポコン!とたたく。

「あ!知ってます!若い時の写真見たことあるけど、結構かっこよかったですよね、岩下さん」

過去の社内報で見た、という若かりし日の栄光に同意する金田さん。


(そうなんだ・・・。ということは綾部くんも・・・。

いつか岩下さんみたいに、お腹が出たりするのかな・・・)


ぼんやりと、そんなことを思っていると。

「あー!失礼だぞー、美咲ちゃん!

その目は、『私の好きな彼もお腹出るのかしら』って心配してたでしょー?」


(どきっ)


金田さんに図星をつかれ、私は「えーと」と苦笑い。
< 58 / 324 >

この作品をシェア

pagetop