秘密の記憶は恋の契約
悩んだ髪型は、両サイドを三つ編みにして後ろでまとめ、白いリボンのバレッタでとめるというハーフアップスタイル。

その後、鏡を見ながら普段より華やかなメークを施した私は、9:55のデジタル表示を確認したところで、窓の外をチラリと眺めた。


(あ・・・綾部くんだ)


黒のステーションワゴン。

何度か乗せてもらった、見覚えのある車がマンションの前に停車した。

高鳴る胸で眺めていると、スマホがメールの受信を知らせた。

『着いた。下で待ってる』

綾部くんからのメールに、私はすぐさま返信を打つ。

『いま行きます』


(・・・よし!)


私はもう一度全身を鏡に映すと、白いフラットシューズを履いて外に出た。









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