秘密の記憶は恋の契約
「どうでもいいわけないだろ・・・。

忘れてるかもしれないけど、オレ、お前の彼氏だぞ」


(・・・そ、そうか・・・)


「気になるだろ、彼女がそんな顔してたら。・・・昔の男のことでも、考えてるのかなって」

「・・・別に・・・そういうわけじゃないけど・・・」

私、どんな顔をしてたんだろう。

元カレを引きずる女だとも思われたくなくて、話をはぐらかしたい私は、無理矢理話題を彼に振る。

「そういう綾部くんは?元カノとの思い出とか・・・いっぱいあるんじゃないの?

すごくモテるでしょう?」

責めるような問いかけに、感じ悪かったかなとちょっと反省。

案の定、綾部くんはムッとした表情で私を睨み、すぐに視線を前に戻した。

「・・・そうだな、モテるけど」

「・・・・・・感じ悪い・・・」

「自分から聞いといてなんだよ。モテるのに、ヘンに謙遜する方が感じ悪いだろ」

「でも、なんかこう・・・もっと、答えるのに間をあけるとか」

「なんだそれ・・・・・・めんどくさいな・・・」

綾部くんが、心底面倒くさそうにため息をつく。

私はその態度にムッとして、さらに彼を問い詰めた。
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