秘密の記憶は恋の契約
(大学の時、サークルの飲み会で酔っぱらったときは、お店のゆるキャラに抱き付いて『一緒に帰る!』って騒いだって、後から先輩に聞かされたっけ・・・)


あの時は・・・一人暮らしの女性の先輩が私を連れて帰ってくれて・・・いろいろ御厄介をかけたのだ。

周りに迷惑をかけ酒癖が悪いことを自覚した私は、それからというもの、飲み会に行ってもお酒はほどほどにするよう気を付けていた。

けれど昨日は詩織たちの話を聞いて、いい気分でたくさん飲んでしまったのだ。

完全に、不覚の事態。

ふと、ブラウスの胸元に目を向けた私は、開いていたボタンをひとつひとつはめていく。


(この格好で綾部くんに抱きしめられていたなんて・・・)


今朝の状況を思い出し、心拍数は急上昇。


(いやいや!落ち着け落ち着け・・・!まだ・・・そういうことがあったって決まったわけじゃないんだし!)


自分自身に言い聞かせながら、ストッキングを予備用のものに替えようとスカートをたくし上げた瞬間、私はさらに血の気がひく事態に気づいてしまった。


(ストッキング、履いてない・・・!)


な、なんで!?

起床時の状況と今の疑問をリンクさせ、背筋にヒヤリと汗をかく。


(まさかほんとに綾部くんと・・・!?いや、でも・・・下着はちゃんと履いてるし・・・)
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